妻にと心に決めた人。彼女の心が遠いところにあろうとも......。■亡き伯母から遺された古い館を目にしたナッシュは、とうとう腰を落ち着ける場所を見つけた、と思った。これこそ我が家、迎えるべき妻はただ一人――フェニックス。十年前、ひと目で恋に落ち、結ばれぬままに別れた女性だ。今、彼女が年月を経てナッシュの前にふたたび現れた。十八歳のころ、フェニックスは美しかった。二十八歳になった彼女は、目がくらむほど美しい。ナッシュの心は激しく揺さぶられた。美しさゆえにではない。この心の動きはそれ以上のものだ。彼女と一生をともにしたい。だがフェニックスは決して、かつて僕がしたことを許しはしないだろう。